数字の意味を正しく理解する
今朝の朝刊に「大学生の1/4が平均がわからない」という記事があった。おいおい、どうなってんの?と思ったが、出題された問題を見て「なるほど」と思った。記事では、「ゆとり教育」の影響云々といわれていたが、そんなことはないと思う。大学生に限定せずに一般の人にこの問題をやらせたら、おそらく正解率はもっと低いだろう。だから、私はこれは「ゆとり」の問題ではないと思うけどね。
出題されている問題は、おおよそ以下の通り。(記憶にたよって書いているので若干正しくないかもしれないが、主旨はほぼ同じと考える)
ある100人の身長の平均が163.5cmでした。このことから、次のうち確実に正しいものには○、そうではないものには×をつけよ。
(1)身長が163.5cmより低い人は50人いる
(2)全員の身長の合計は163.5×100=16350cmであった。
(3)身長が130-140cmの人数、140-150cmの人数、150-160cmの人数、160-170cmの人数、170-180cmの人数を比較すると、160-170cmの人数は130-140cmの人数より多い。
さて、あなたは間違いなく答えられただろうか。正解は×、○、×である。
「平均くらい知っとるわい!」と思ったあなた。正解できましたか?おそらく、平均の求め方は多くの人が正解するだろうが、上記のような平均の意味となると、多くの人が正しく理解していない。
日常的に色んな数字が出てくるのだが、数字の意味の誤解は上記の平均のようにいたるところでみられる。これはやはり、たとえば平均の計算の仕方は教えるけれど、平均の意味を正しく教えないというような「やり方」重視、「意味」軽視の風潮のたまものであろうと私は思う。
以前、テレビの天気予報でお天気オネエサンが
「昨日は20℃あった気温が、今日は半分の10℃です」
といっているのをきいて唖然とした私。気温が半分ってなんだ?気温って半分とか倍とか、そんな風に数えられるものなのか?こんな突っ込みを入れていたら、「気温が半分は違和感ない」という人がまわりに多くいて驚いた。じゃあ、-10℃だったらどうなのよ?
よく、「数学なんて生活に必要ない、ルートとか知らなくても生きていける」などと大声で言って自分のアホさ加減を世間にさらしている人がいるが、数学は物事を論理的に考えて、正しく判断するための道具なのであるから、高等数学ならまだしも、そんな基本的な数学を理解できない人が、論理的に考え、物事を正しく判断できるとは到底いえない。だから、すぐに騙されるのである。数字を使わないで、感覚だけで言っていることや、数字を使ったとしてもトリックが入っているようなものを「おいおい、それおかしくないか?」と突っ込みをいれられるかどうか、ということなのである。
数学は科学の道具であるが、科学とは論理的思考に支えられているのであり、科学的成果を曲解して、自分の都合のよいようにしたり、拡大解釈して、だれも証明できていないような事柄まで、断定的に「こうである」と言っている例が日本には蔓延している。それを正していくことは世の中を良い方向にかえていくことになろう。
ところで、トマトジュースが売り切れだ!20年間毎日トマトジュース飲んでいた私が飲めなくなる危機!どうしてくれる。あんなものに騙されるようじゃ、日本人もたいしたことないね。ちょっと前に、「原発が止まると電気が足りなくなる」といっていたそこのアナタ、「原発ありきの世の中なのだから、止まったら困ることになる」といっていたアナタ、ヨーロッパの脱原発の動きに、「ヨーロッパは陸続きだから外国から電力の輸入ができるから大丈夫なのだ」といっていたアナタ、原発を止めたドイツは原発だらけのフランスに電力を輸出しているそうじゃないか!そんなもんに騙されるようじゃ、ホント、日本人はたいしたことないぜ!それじゃあイケンじゃろう!
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