散歩道プロジェクト21年目の日
あの日からもう21年が過ぎた。2023年2月16日は「散歩道プロジェクト」の誕生日だ。
いつも歩いていた大好きな散歩道。豊かな自然の中を歩けることに幸せを感じていた。その散歩道の周辺の自然が徐々に消えていく。そのことをずっとどうになからないものかと思う日々。そして、ならば、この散歩道周辺にどんな自然があるのか、それを自ら明らかにして、多くの人に見てもらう。そうすれば、何かが変わるかもしれないと思って、「散歩道プロジェクト」というWebを開設して、発信を始めた日。それが、2003年2月16日だ。
そして、初めて撮った写真がこれだ。
いまはすっかり住宅街になっているその場所だ。延々と続く造成地は、かつては森だった。森が消え、住宅街になっていくのを、我が身を削られる思いで見ていたものだ。
しかし、その森に何があったのか?私自身、知っているわけでもなかった。なんとなく、そこには豊かな自然があり、様々な生き物が生活していたのだろうとそのくらいの認識しかなかった。
何も知らなかった。そこにどんな生き物がいてどんな生活をしているかなど、本当に何も知らなかったのだ。
森は半分以上は残った。そこが私の散歩道だった。そして、カメラを持って歩き、そこにどんな生き物がいて、どんな生活をしているかを自分なりに探っていく日々が始まった。
週末になるとカメラを持って歩いた。そして、見つけた生き物一つ一つをカメラに収めた。
そんななかから、生き物との交流も始まった。
思えば、ヒキガエルなんて、それ以前の私には遠い存在だったと思う。
それから月日は流れた。
かつては、春になると水の入った田んぼは周囲を映し、とても美しい風景が広がっていた。
シュレーゲルアオガエルの声が響く中、時折キジのケンケーンという声が響いていた。しかし、これらの谷津田は次第に耕作放棄地となり、この美しい風景は消えて行った。
私はただ、その風景の変化を見るだけだった。
しかし、2年前から、私の生活は一変した。やりたいことをやろう、そう思って、全てをそこに注ぐことにした。草ボウボウの耕作放棄地をもとの田んぼに戻していく。そういう経験を一つずつ積み上げていく。
私には知らないことが多すぎた。やっていくうちに色々なことを知り、少しずつ少しずつ進んできた。
これからまだまだやることはあるし、この地がかつての輝きを取り戻すには、相当な労力が必要だと思う。地域のいろいろな問題をクリアしていかないと出来ないと思う。
でも、私はそのかつての輝きを取り戻したい。美しい風景を取り戻し、愛する散歩道のかつての姿にしていきたい。
それはもはや自分が歩くのではなく、子供たちや、さらに次の世代が、美しい田園風景の中で暮せることの幸せを感じて生きていくこと。それを望んでいる。そうして、そこは、生き物の命溢れる場所であってほしい。
散歩道プロジェクトを始めてから21年が経過した。さらに次の21年。そのころは私はこの世にいないかもしれない。でも、次の世代によりよい世界を残したい。自分の利益というよりも次の世代の利益だ。そう思って、この先も過ごす。
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