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2019年5月 4日 (土)

休耕田とコケリンドウ

この10年ほどで、散歩道の田んぼはどんどんと休耕田になっていった。特にここ5年くらいで急激に休耕田が増えた。Tambo2019050400 かつて、ニホンアカガエルの楽園だった田んぼが休耕になり、それでもわずかに残った水たまりや水路に産卵にきていたニホンアカガエルだったが、いまやある特定の田んぼの水が涸れない水たまりや、水路にしかいなくなった。かつて数百個のニホンアカガエルの卵塊があった田んぼから完全にニホンアカガエルの姿が消えた。そういう局地的絶滅を見てきた。

カエルだけではない。植物だって、水田に水が入ったり、畔を草刈りすることによって生息していた植物の姿が見られなくなるということもある。かつての水田は休耕になって姿を変え、自然が姿を変えていく。そういう変化をずっと感じてきた。

コケリンドウという植物がそうだ。かつて、草刈りがされた畔、田んぼや水路に水が入って湿り気がたっぷりあるところに小さな美しい花をさかせていたが、ある田んぼの畔では休耕になって数年で見られなくなった。

去年まで花が見られていた田んぼの畔。今年はまだコケリンドウを見ていない。そろそろシーズンも終わりに近づく。その場所にいくたびに目を凝らして花を探すが見つけられていない。今日も半ばあきらめ気味で、その畔をみつめていた。Tambo2019050401 やっぱりないなあ、と思って、そこを去ろうとした時、何気なく見ていた畔に薄水色のモノが見えた、もしや??

そう思って、草がぼうぼうに生い茂っている休耕田に降りてみる。すると、なんとなんと、咲いているではないか!!Kokerindo2019050401 しかも沢山!

コケリンドウは生きていたのだ。これはうれしかった。ついにこの地から消えてしまったかと思っていた植物が、しっかり命をつないでいた。

コケリンドウは本当にちっちゃな花を咲かせる。それは1センチほどのちっちゃな花だが、その色形はとても美しい。私はこの花が好きだ。

いまや千葉県レッドデータブックにも掲載されている絶滅危惧種でもある。

Kokerindo2019050402

人々の生活が自然を変える。そして、そこに生きる生き物たちの生息環境も変わる。しかし、生き物たちはたくましい。そこに生きる環境があるかぎり命をつないでいく。それは、この地に人間がやってくるはるか以前からここで命をつないできたものだからだろう。ただ、ほとんどの人がその存在にさえ気づいていない。コケリンドウなどはほんの1センチほどの小さな花を、この新緑の時期にだけつける。誰もがその存在に気づかずに、ここを通り過ぎていく。そして、気づいていないものは無いものと同様になる。気づいていない人々は、ここを綺麗に更地にしてしまい、もっと悪いことには、外国産の植物や園芸種を植えたりする。何もしらない人々は、そうして植えられた芝桜やネモフィラを見て「綺麗だね」といい、車を大渋滞させてまで見にやってくる。かつて、そこにはこんなにも美しい日本古来の植物があったことも知らずに。

私は今日、コケリンドウを再発見してとてもうれしかった。同時に、今の世の中の人々がこの美しい日本の植物の存在にさえ気づかずに通り過ぎ、何もない場所だから、ここに花を咲かせようと、間違った良心で芝桜やネモフィラを植え、さらにその鮮やかな色に騙される。そのおかげで破壊された日本古来の自然に気づかない人々。その現実が私にはとても悲しい。Kokerindo2019050403

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