梅雨明け間近
今年の梅雨は天気が急変することが多く、降れば土砂降り、そんな感じだった。昨日も散歩にでかけたはいいが、結局雨に降られて途中で引き返すこととなった。
今日も朝からどんよりとした雲に覆われ、いまにも降りだしそうな空だった。折りたたみ傘をもって出かける。
散歩道はすっかり緑の中にある。ニイニイゼミの甲高い声が夏を告げている。梅雨の雨の恵みで育った緑の香り。その中にある。
春先、まばらだった稲は、みるみるうちに田んぼを覆い尽くし、ぐんぐん伸びている。あと一月もすれば黄金色に実り、収穫の時がやってくるだろう。
そうして、一年、一年めぐっていく。そのめぐりの中で人々は生きている。
うっそうと茂った藪をかきわけて進む。
いろんな虫たちが、目の前を通り過ぎる。この藪の一本一本の草にも、物凄い数の生命が生きている。
目の前をマユタテアカネがグルグルと舞う。まだ赤みを帯びていないその小さな姿。透き通る翅が美しい。しばらく、カメラで追う。
飛んでいる姿を撮りたい。そう思って追いかける。子供の頃、捕虫網を持って追いかけたトンボ。今はカメラで追いかける。そうやってトンボとたわむれるのが好きだ。
ヤマユリの香りがしたから、近くに咲いているだろうと思ったら、大きな株が大輪の花をたくさんつけていた。
ヤマユリは花が重すぎて、細い細い茎が耐えられないように見える。でも、そのおかげで斜面から下を向いて咲く花が綺麗だ。それに、この香り。
田んぼの上を大量のトンボが舞う。見ていると、いつのまにか私はそのトンボの集団の中に入っていた。
飛んでいるトンボが撮りたければ、いくらでも撮れる。そんな感じだ。毎年、この時期からトンボとわたむれる時間が増える。
道端をニイニイゼミの幼虫が歩いていた。どうやら羽化する場所が見つけられなくてさまよい続けているようだ。
「おいおい、こんなところじゃダメだよ」といってひろいあげる。かなり弱ってきているようだが、それでも手のひらの上を一歩一歩あるく。その足の感覚がいとおしく思える。
どこか安全な場所に連れて行ってあげよう。そう思って、逃がす場所を探す。しめった地面が露出している場所に置く。すこし湿らせてあげたほうがいいかと思い、水筒の麦茶を口に含んで吹きかけてみる。なんとか地面にしがみついている。
がんばって立派なセミになれ!
そういってその場を離れる。元気を取り戻して、羽化してくれれば。



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