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2013年7月29日 (月)

昆虫の夏

 先日の観察会で私は何気なく「夏はいろんな虫がいっぱい出てくるから大好きな季節」と言った。子供の頃、夏休みは虫カゴをぶら下げて、捕虫網をもって走り回ったものだ。生まれ育った広島県では、ミンミンゼミは山地にいかねば捕ることが出来ず、だから、毎年のようにミンミンゼミをつかまえたくてしかたなかった。初めて見たミンミンゼミの上品な緑色の美しさは忘れられない。それから、昆虫には興味がなくなったかと思ったが、やはり子供の頃夢中になったものは、大人になってもワクワクするものだ。

 さて、散歩道もすっかり夏がやってきた。梅雨明けが早かった分、夏が長い気がして嬉しいものだ。田んぼではすでに穂が出てきており、少し色がかわりつつある。Tambo2013072801そうなると、だんだんとお米の香りがしてくるんだよね。秋の田んぼの香り。それはお米の香り。そんなことは大人になるまで、いや、千葉に来るまで知らなかった。生まれ育った近所には田んぼがあまりなかった。

 くねくね峠にいくと、ヤマユリが良い香りを漂わせている。嗅覚の発達している私は、ヤマユリはまず香りで発見する。そして、あたりを見渡すと、「あ、あそこにあった!」となるのだ。Yamayuri2013072801今年のヤマユリは数も多く、そして長く咲いている。まだツボミのものもあったから、あと一週間くらいは美しい花をみることができるだろう。

 木漏れ日の揺れる「くねくね峠」。木陰に入ると、ひんやりと涼しい。同じ暑い夏でも、コンクリートやアスファルトの街の焼けるような暑さとは違うものがある。Kunekune2013072801
小さな小さな蝶が道端でチョロチョロと舞った。みるとゴイシシジミだった。Goishi2013072801久しぶりに会うことが出来た。もともと翅を広げても1.5センチほどの小さな蝶だが、特にこいつは小ぶりだった。翅を広げても1センチくらい。「これはちっちゃすぎるだろう~」と思わずつぶやく。こんなに小さくてカワイイ蝶だが、幼虫は完全な肉食。アブラムシを食べる。成虫もアブラムシが分泌した液を吸うので、完全にアブラムシに依存している。しかし、アブラムシの方は抵抗しないのだろうか?と思う。自然の中には本当に不思議なことがいくらでもある。

 道端からバタバタとセミが飛び出す。なんだろう?とみると、ヒグラシだ。慌ててとまったのだろうが、ヒグラシが珍しく、日の当たる葉っぱの上に止まっている。Higurashi2013072801そしてまた、キラキラと道端に輝くムラサキシジミ。今日はムラサキシジミをよく見かけるなあ。Murasaki2013072801道端に転がる、セミの幼虫の死骸。死骸にはアリがやまのようにたかっている。Semi2013072801


何年も土の中で過ごし、やっと出てきたのに、飛ぶことができなかった。でも、その体は土に還ることができる。ずっとずっと先、また、セミとなって飛ぶだろうか。それとも、他の命となるだろうか。

 ニイニイゼミやアブラゼミが鳴く中、日が陰ると、すこしヒグラシも鳴く。賑やかな季節だ。昆虫の季節だ。Tambo2013072802


子供の頃、虫カゴと捕虫網を持って、野山を歩き回った私は、この歳になってカメラを持って昆虫を追いかける。子供のように。それが楽しいし、そこから、色んなことを知ることが出来る。今の子供たちにも昆虫とたわむれる経験をもっとしてほしいと思う。それは自然の中の命の営みを知ることでもある。見たことがなければ、それはけっしてわからない。そういう経験がないから、当たり前の自然がわからなくなるのだと思う。私はもっともっと生き物とたわむれようと思う。

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2013年7月20日 (土)

百合と蝉時雨の中を

 梅雨明けしていきなりの猛暑だったが、このところはオホーツク高気圧の圏内に入り、比較的過ごしやすい。寒すぎるわけでもなく、夏がずっとこんな風ならいいのにと思う。

 久しぶりの散歩だ。散歩道に入ると、いきなり、ギャーッと獣か鳥かわからない大きな声が林の中からきこえてきた。その声は高速で移動して近づいてくる。

 あっ、鳥だ!と思った時は、逆行でよくわからなかったが、私の頭の上をかすめるように飛んでいく時、なんと猛禽類のサシバがなにやら獲物を捕まえて飛び去っていくのが見えた。あわててカメラを向けるも、すぐに林の中に消えてしまった。この谷津田に人知れずくりひろげられる命のドラマを垣間見た気がした。

 一瞬の出来事にただ唖然としている私の目の前に、ヒラヒラとコミスジが迎えてくれた。Komisuji2013072001 私の好きなチョウの一つだ。ゆったりと、ひらひらと舞う姿がとてもいい。近くでみると、なかなか美しい蝶なのである。

 田んぼわきにはノカンゾウが沢山咲いている。今年は随分と沢山咲いた。Nokanzo2013072001 田んぼのまわりは綺麗に草刈りをされているが、ノカンゾウなどの花は残しておいてくれるようだ。

 今日は曇っていて、日差しが柔らかで涼しいが、そのせいか、真昼間なのにヒグラシの大合唱が聞こえてくる。Yatsuda2013072001 何かの拍子に一匹が鳴きはじめ、それにつられて合唱が大きくなっていくようだ。このへんはシュレーゲルアオガエルやアマガエルの合唱に似ている。暑さを感じそうなニイニイゼミの合唱と、涼しげなヒグラシの合唱が同時に聴こえ、さらに、ウグイスのさえずりさえ聴こえてくるという、とても不思議な音風景が広がる。

 くねくね峠の入口に、立派なヤマユリがあった。Yamayuri2013072001 あたりにとても良い香りをただよわせている。このヤマユリは、花びらの黄色い線がいくぶんピンク色がかっていて、ちょっとかわっている。ちょっとかわっていて、それがとっても鮮やかだ。

 くねくね峠はすっかり夏の風情。Kunekune2013072001 日射しがないと、ずいぶんと暗い暗い、木のトンネル道だ。

 いつものように、くねくね主の穴を覗き込む。もうそこに彼はいないとわかっていながら、それでも毎回、「もしかすると」と思う。Ana2013072001 あるいは彼の二代目がやってきてくれるのではないかと少し期待して覗きこむ。しかし、今日も誰もいなかった。丁度一年前、長い付き合いだった、くねくねの主と、ここで最後のお別れをした。その日も、今日のようにニイニイゼミが鳴いていた。

 いつものように谷津田をずっと歩いて行くと、道端にヒキガエルの死骸があった。Hikigaeru2013072001 何かに食べられたのだろうか?体の肉はえぐられて、骨が見えていた。そして、沢山の蝿がたかっていた。くねくねの主も、去年の今頃、こうして自然にかえっていったのだ。自然は死を無駄にしない。大きな命の流れの中の一つの状態に過ぎない。生まれてくること、そして今生きてるということも。

 山の中に、ちょっと開けた草むらがある。おそらく誰も気づかないが、この時期のここを舞っている蝶がいる。Kusamura2013072001 この時期に限られ、また、この環境に限られる蝶だ。年によって多い少ないはあるが、必ずここで見られる蝶だ。今年はどうだろう?と思って立ち止まって草むらを眺めていたら、黒っぽいその姿を発見出来た。

 なかなかとまってくれないので、うまく写真におさめることができないな。そんな風に思いつつ、蚊の攻撃をかわしながら草むらを見つめる。すると一匹、近くに止まっているのを発見した。だが、角度がイマイチ悪い。そっと草むらに踏みこんでいく。「逃げないでくれよ!写真を撮らせてくれ!」そう呟きながら近づく。そして、Janome2013072001 しっかりとその姿をカメラにおさめることができた。ジャノメチョウ。千葉県レッドデータブックでCランク、要保護生物に指定されている蝶だ。私はこの蝶も好きだ。このあたりでは、ここの草むらのような環境には普通に飛んでいる蝶だが、いまや数が減っている。写真では写しきれないような、微妙な色が美しい。ぱっと見、こげ茶色に見えるが、微妙に紫やピンク、青といった色が混じっている感じなのだ。跳んでいる時には、黒っぽく見え、羽ばたいている翅が時々、不思議な色に見える。

 この蝶はうちの庭にも毎年のようにやってくる。おそらく近所の草むらで繁殖しているんだろうと思う。今年は庭で見ることが出来るだろうか?

 梅雨が早くに明けたので、もう夏になって随分と日にちがたった気がしているが、本当なら今頃梅雨明けだ。夏はこれからだ。命あふれる夏を、私も命を燃やして体いっぱいに感じたい。Sampo2013072001

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2013年7月 4日 (木)

夜な夜な我が家にやってくるハクビシン

うちには大きな枇杷の木がある。これはもう20年近く前にこの地に引っ越してきた時、もらいもののビワの種を庭に埋めていたらそこから芽が出てきたものだ。もう、2階の窓を越える高さになっている。Biwa2013070301 これでも毎年剪定.しているのだが、どんどん成長する。実も沢山なる。

実が食べごろになると、どこからともなく鳥たちがやってくる。ヒヨドリ、メジロ、スズメが主だ。Mejiro2013062301 メジロなどは、巣立ったばかりのちっちゃな小鳥が大勢やってきたりする。餌場が近くにあるから、鳥も子育てしやすいのかもしれない。春先になるとメジロのオスがよい声でさえずっているのをいつも耳にする。

鳥が食べたあとに、虫たちもやってくる。スズメバチなどもやってくる。Suzumebachi20130623 しかし、このビワの実を目指してやってくるのは鳥や虫だけではなかった。

 つい先日の朝、妻がベランダでハクビシンの糞のようなものを発見した。丁度、犬や猫の糞くらいの大きさだが、明らかに違うのは糞の中に、木の実の種が色々はいっていることだ。Fun2013070101 この糞には明らかにビワの種が入っているのがわかる。これはまがいもなくハクビシンの糞。ハクビシンはここでビワを食べて、糞までしていったのだ。これはまた凄い証拠を残していってくれたものだと思った。そこで、私は夜間にベランダにカメラを設置してハクビシン本体を撮影してみることにした。

 カメラを設置してわずか2日で、ヤツは姿を現した!

Hakubi2013070301 私が想像していた通りだった。ハクビシンはきっとベランダの手すりに乗っかって、そこからビワの枝に手を伸ばして実をとって食べるのだろうと思った。まさにその通りだった。

 小さめのネコくらいの大きさ。だが、手足が器用で、スルスルと木のぼりをすることができるハクビシンにとって、こんなに沢山、美味しいビワの実があって、こんなに簡単に食べられるいい場所を見つけたんだな。

 糞に種が混じっていたということは、糞をしていく随分前からやってきて実を食べていたはずだ。私はこのハクビシンがウロウロしているすぐそばで何も知らずに寝ていたのだ。

 そういえば、近所で「犬の糞の始末をしない奴がいる!」とか、「庭の果物を取っていくヤツがいる」とフンガイしている人が少なからずいるが、落ちていた糞をみると、どうも犬ではなさそうだし、今時、他人の家の果物を盗むなんて人はそういないだろうから、きっとハクビシンのような野生動物の仕業だろうとずっと思っていた。だから、今回その証拠写真が撮れたのかもしれない。

 このあたりには、 「素行の悪い人」がいるのではなくて、「素行の悪い獣」がウロウロしているのだ。Hakubi2013070302 真犯人はこんなヤツなのだ。私はしばらく、このハクビシンを観察してみようと思う。やっと捉えたその姿をずっと見ていけば、何か知らなかった発見があるかもしれない。

 いや、私自身、うちのビワの木にハクビシンがやってきているなんて知らずに、すぐそばで安心して寝ていたんだから。Hakubi2013070303

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