昆虫の夏
先日の観察会で私は何気なく「夏はいろんな虫がいっぱい出てくるから大好きな季節」と言った。子供の頃、夏休みは虫カゴをぶら下げて、捕虫網をもって走り回ったものだ。生まれ育った広島県では、ミンミンゼミは山地にいかねば捕ることが出来ず、だから、毎年のようにミンミンゼミをつかまえたくてしかたなかった。初めて見たミンミンゼミの上品な緑色の美しさは忘れられない。それから、昆虫には興味がなくなったかと思ったが、やはり子供の頃夢中になったものは、大人になってもワクワクするものだ。
さて、散歩道もすっかり夏がやってきた。梅雨明けが早かった分、夏が長い気がして嬉しいものだ。田んぼではすでに穂が出てきており、少し色がかわりつつある。
そうなると、だんだんとお米の香りがしてくるんだよね。秋の田んぼの香り。それはお米の香り。そんなことは大人になるまで、いや、千葉に来るまで知らなかった。生まれ育った近所には田んぼがあまりなかった。
くねくね峠にいくと、ヤマユリが良い香りを漂わせている。嗅覚の発達している私は、ヤマユリはまず香りで発見する。そして、あたりを見渡すと、「あ、あそこにあった!」となるのだ。
今年のヤマユリは数も多く、そして長く咲いている。まだツボミのものもあったから、あと一週間くらいは美しい花をみることができるだろう。
木漏れ日の揺れる「くねくね峠」。木陰に入ると、ひんやりと涼しい。同じ暑い夏でも、コンクリートやアスファルトの街の焼けるような暑さとは違うものがある。
小さな小さな蝶が道端でチョロチョロと舞った。みるとゴイシシジミだった。
久しぶりに会うことが出来た。もともと翅を広げても1.5センチほどの小さな蝶だが、特にこいつは小ぶりだった。翅を広げても1センチくらい。「これはちっちゃすぎるだろう~」と思わずつぶやく。こんなに小さくてカワイイ蝶だが、幼虫は完全な肉食。アブラムシを食べる。成虫もアブラムシが分泌した液を吸うので、完全にアブラムシに依存している。しかし、アブラムシの方は抵抗しないのだろうか?と思う。自然の中には本当に不思議なことがいくらでもある。
道端からバタバタとセミが飛び出す。なんだろう?とみると、ヒグラシだ。慌ててとまったのだろうが、ヒグラシが珍しく、日の当たる葉っぱの上に止まっている。
そしてまた、キラキラと道端に輝くムラサキシジミ。今日はムラサキシジミをよく見かけるなあ。
道端に転がる、セミの幼虫の死骸。死骸にはアリがやまのようにたかっている。
何年も土の中で過ごし、やっと出てきたのに、飛ぶことができなかった。でも、その体は土に還ることができる。ずっとずっと先、また、セミとなって飛ぶだろうか。それとも、他の命となるだろうか。
ニイニイゼミやアブラゼミが鳴く中、日が陰ると、すこしヒグラシも鳴く。賑やかな季節だ。昆虫の季節だ。
子供の頃、虫カゴと捕虫網を持って、野山を歩き回った私は、この歳になってカメラを持って昆虫を追いかける。子供のように。それが楽しいし、そこから、色んなことを知ることが出来る。今の子供たちにも昆虫とたわむれる経験をもっとしてほしいと思う。それは自然の中の命の営みを知ることでもある。見たことがなければ、それはけっしてわからない。そういう経験がないから、当たり前の自然がわからなくなるのだと思う。私はもっともっと生き物とたわむれようと思う。



















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