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2011年11月 5日 (土)

曇り空の秋の午後に

このところ落ち着かない毎日を過ごしてきたように思う。音楽を聴いても、耳に入ってこない。せわしい毎日、色んな事をこなすのに必死で、心に余裕がないのかもしれない。そんな中、どんよりと曇り空の下、散歩に出かけてみたら、今日は落ち着いて歩ける気がした。散歩に出かける時、「今日はあのあたりを歩いてみよう」と思うのだが、珍しく、森の道から川沿いを歩いてみたくなった。森の道を歩く時、何故か自分自身とじっくり向き合い、自分の心とじっくり会話することが出来るように思う。

Sampo2011110501 散歩道はすっかり秋の色だ。意外なことに思うかもしれないが、秋はカエルがよく鳴く。今日もアマガエルがグワッグワッとあちこちで鳴いている。藪の中からウグイスのジッジッという地鳴き。地面からはコオロギたちが静かにないている。あたりは野焼きの煙でもやっている。野焼きの煙。これもまた秋の風景だ。Sampo2011110502 道端の菊をみながら歩く。菊といっても色々ある。Sampo2011110503 今、道端には、リュウノウギクにシロヤマギク、シロヨメナ、ヨメナなどなど、静かに咲いているという印象だ。春の花が、パッと明るく咲く印象にくらべ、本当に静かに落ち着いて咲いているという感じがするのは何故だろう?Sampo2011110504 花を見る人間の気持ちの問題なのかな?とも思う。色の乏しい冬を越え、明るくなっていく春に、色彩を与えてくれる春の花。それに対して、生き物が激しく命を燃やした夏が終わり、次第に静かに色が落ちていく秋。秋の花は色彩が穏やかに思う。実際、白や紫の花が多い。

Sampo2011110505 道端にピョコンとイナゴのカップルが飛び出した。暮れゆく季節、次の季節に命をつないでいく彼ら。イナゴも秋が深まるにつれて色が少しずつ枯葉色になってゆく。

道端からフワフワとオオアオイトトンボが飛んだ。フワフワと数匹が飛んで、目の前で2匹が一本につながったのだ。Sampo2011110506 この季節、こうしてつながって飛ぶ彼ら。夕日に向かってフワフワと飛ぶ沢山の彼らを見る時、その命のいとなみが、私が生まれるずっとずっと昔から延々と続いてきたのだなということに思いをはせ、気の遠くなるような時の流れ、数限りない地球の回転を感じるのだ。

Sampo2011110507 森の道を歩いて行くと、道端にひときわ目をひく花があった。トリカブトだ。こんなところにあったのか?いや、去年はみなかった。ただ私が見つけることが出来ていなかっただけなのかもしれない。草花も、年々と少しずつ生える場所を変えていく。ずっとそこにあると思っていたものが消え去り、また別なところからひょっこり現れる。いままでそこになかったものがある日突然現れる。自然はじっとしているのではない。動いているのだ。それはここの自然が自分の力で生きている証だろう。

Kawa20111105 森の道を抜け、川のほとりをずっと歩いていく。川辺にある田んぼで、キジがけたたましく鳴く。見ると、田んぼに数羽のキジが歩いている。犬の散歩をしている子供連れの人に「ほら、キジがいるよ」と言う。すると、「ずっとつがいでいたのに、今日はオスが2羽。どうしたんだろう?」という。確かに、オスと、そしてカラス。

Sampo2011110508 道端には大量のカナムグラ。道端で実をつけているのがとても気になった。そう、これはいわゆるビールに使われるホップの親戚だ。気になったので、実を一つ摘んで香りを確かめる。しかし、青臭い草の香りのようなものしか感じない。でも、悪い香りではない。大量に集めれば、なかなか良い香りかもしれない。

川を見ながらゆっくり歩く。ずいぶん日が暮れてきて、あたりはうす暗くなってくる。モズがギチギチとけたたましく鳴く。この季節、モズの声があちこちで鳴り響く。「モズってうるさいなあ」などと独り言をいう。

川にはカルガモの群れがところどころに見える。そうしてみていたら、川辺にイソシギがいたので、写真を撮ろうかとカメラを向けたら飛んで行った。残念がっている、その直後をカワセミが飛んで行った。あわててカメラで追いかける。Sampo2011110509 カワセミは素早く、もうあたりは随分暗くなっていたので、ちゃんとした写真は撮れなかった。少しだけ残念。でも、いつもは、あっという間に過ぎていくので、撮ることも難しいのだけれど。もっとも、ずっと待ち構えていれば撮れるだろうけど。

散歩道、ぐるっとまわって東のメイン通りまでやってきたとき、近くの田んぼで草刈り機の音が響いていた。その音を聴いた時、私の中の何かがジワジワとよみがえってきた。そうだ、あの音を聴きながら、こうしていつも歩いていたのではないか?それが私の散歩の風景。せわしなく日々を過ごしていた私の心に、忘れかけていたものがすっとよみがえってくる。今日は本当に珍しく落ち着いている。日々、あれやこれやとせわしなく色んなことを考え過ぎていた。そんなことより、こうして季節を感じて歩けたこと。そのことがじわっと心に広がった。Sampo2011110510 ザクザクと音をたてて歩く砂利道に目を落とすと、小さな虫が歩いていた。そうだ、こんな風に様々な生き物を見て、感じて歩いてきたんじゃないか。今、また、新鮮な気持ちで歩き始めることが出来る気がした。また、季節はめぐってくる。また歩こう。ずっと歩こう。

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