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2010年9月26日 (日)

秋の気配の中で

先週まで、汗をふきながら、時々給水しながら歩いたのが嘘のようだ。気温がいっきに10度近く下がり、すっかり秋の気配になった。あれだけ鳴いていたツクツクホウシもすっかり静かになり、時々声を聴くだけになった。夏の間、セミの声にブロックされていた、周囲の様々な音が澄んだ空気を伝わってくるのがわかる。そして、地面からはコオロギなどの秋の虫の声。すっかり秋だ。水筒も持たず、タオルも持たず、遠くまで歩ける。

Tsumaguro20100925 ここ数年ですっかりお馴染みのチョウになったツマグロヒョウモンは、今日もヒラヒラと舞う。その派手な色彩はとてもよく目立つ。わずか数年前は、こんな派手なチョウは飛んでいなかった。今はほとんどモンシロチョウと同じくらいに見かけるといっても過言ではない。

随分以前のことだが、散歩道でオオウラギンスジヒョウモン(千葉県レッドデータブックAランク最重要保護生物)を見つけた時はたいそう驚いた。それ以来、ヒョウモンらしきチョウを見つけると、これはまた珍しいチョウかもしれないと追いかけるようになった。たまたま望遠レンズを持っていない時にヒョウモンに遭遇してしまい、大急ぎで家に望遠レンズを撮りに戻って、自転車に乗ってわざわざ撮影に来たこともあった。その時、なんとか撮影は出来たものの、葉っぱの影にかくれていて種類の判別まではできなかったのを覚えている。そう、その頃は、ヒョウモンの類は珍しかったのだ。それが、いまや、ヒョウモンといえばツマグロヒョウモンだ。これだけ普通に見られるようになったのはわずかここ4~5年のことだ。もともと南方のチョウで、このあたりにはいなかったのだが....

歩いていると、ツマグロヒョウモンよりもいくぶん地味なヒョウモンが目の前をヒラヒラと飛んだ。少し胸が高鳴った。望遠レンズで追いかける。時々葉っぱにとまるのだが、なかなか角度が悪く、種類の判別が難しい。そして、ようやくいい位置にとまってくれて、種類が判別できた。これはメスグロヒョウモンだ。Mesuguro20100925 少し翅がいたんでいる。こいつはここで育ったのか?それともどこかから飛んできたのか?オスはこんな風にヒョウモンらしい色彩をしているが、その名の通り、メスは黒いのでイチモンジチョウだと間違ってしまう。以前、イチモンジチョウだと思って写真を撮っていて、あとでよくみたら、メスグロヒョウモンのメスだったことがあった。その時は、ちょっと驚いた。

秋のさわやかな明るい日差しの中を歩く。あちこちでカマキリが獲物を待ち構えているのに出会う。Kamakiri20100925 様々なトンボが目の前を沢山飛ぶ。見晴らしのよい場所から見ていると、本当に沢山の生き物が飛び交っているのが見える。時にはススメバチなどもいて、そいつらにぶつからないように用心して歩かねばと思うから、結構神経を使うものだ。ああ、まるで人にぶつからないように都会の雑踏を歩くようだな。ここは生き物の都会だ。

またまた、目の前をヒラヒラとヒョウモンが飛んだ。二匹いる。一匹は派手な色が明らかにツマグロヒョウモンだが、もう一匹は大きさはほぼ同じだが、少し地味だ。これもなかなか種類がわからない。しばらく望遠レンズで追いかけて、ようやくミトリヒョウモンだとわかった。Midori20100925_2 それにしても、どうして今日はこんなにヒョウモンに出会うのだろうか?メスグロヒョウモンもミドリヒョウモンも一年に一度出会うか出会わないかというのに。

Tombo20100925 キラキラ輝く秋の日差しは、それが冬へとつながっていることを感じさせる。つい先日まで真夏だったというのに。

秋は昆虫たちが命を輝かせる時。そして、その命を来年へとつないでいく時だ。秋の虫の声につつまれ、明るい日差しの中、自然の呼吸を感じながら、自分の呼吸も意識しながら歩く。自然との対話は一人こうしてまわりのすべてのもの、光を、音を、空気を、感じながら歩くことの積み重ね。自分の生きている時間、歩いている時間より、はるかに長い時の流れの中、自然はそこにあり、営みをつづけていく。そして、そのほんの一瞬に自分の歩みが重なっている。

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2010年9月20日 (月)

秋の足音

今年の暑い暑い夏。ようやく空気が入れ替わり、秋の気配がしてきた。夏は朝、ヒグラシの大合唱で始まる。それが、一気になくなり、気付くとセミの声はツクツクホウシ以外はほとんど聞こえなくなっている。そのかわりに地面から秋の虫たちの声が響いてくる。

Aki2010092001 草むらのセイタカアワダチソウはずいぶんと大きくなった。もうすぐあたり一面、黄色い花でいっぱいになるだろう。

田んぼの稲刈りはもうほぼ完全に終わった。すでに二番穂が出てきている田んぼもある。今年の異常な暑さによって、成長が早かったものもあれば、ずっと秋になるのを待ち続けていたものもある。Aki2010092002

アカガエルはどうしたことか、ほとんど見かけなくなった。夏までは水辺にいる彼ら。秋が近付くと水辺から離れていくのだが、今年は夏の暑さに耐えられなかったのではないかと、少し心配だ。いずれにせよ、来年の産卵のことが今から気になる。

8月は雨が少なくて、谷津田の湧水も涸れそうになっていた。水路の水も随分と減ったように思えた。9月に入って、台風が通過したり、台風から変わった低気圧が通過したりして、雨が一気に降った。水は一気にあふれた。

8月は毎年忙しく、散歩に行けない日が続くのだが、今年はあまりの暑さに散歩を回避したこともあった。散歩にいくと、必ず、くねくねの主にあいさつにいった。Nushi20100905 今年はあまりに暑くて、出歩けなかったのか、昼間、彼はいつもの穴にいることが多かった。9月に入ってからは留守が多くなった。

例年に比べて、蚊に襲われることが多くなった。ブンブンと顔のまわりを飛び回る蚊を追い払いながら歩く。少しでも立ち止まっていると、蚊がやってくる。「ええい、鬱陶しい!」

そう思いながら、目の前を飛ぶものを手でパチン!とやったら、どうも蚊ではない。これはブユだ。Aki2010092003 見ると、あたりに沢山ブユが飛んでいる。背中のリュックを下ろすと、そこにブユがたかっていた。うわ、これはたまらん!こんなに沢山のブユに囲まれたのは初めてだ。そういえば、8月の終わりごろ、庭にブユが沢山飛んでいてちょっとビックリした。今年はブユが多いのか。こいつに刺されたら大変だ。

Aki2010092004 道端では、気の早いキバナアキギリが鮮やかな黄色を見せていた。季節はいつもとちょっと変わった変化をしながらも、確実に進んでいく。

歩いてきた道を振り返りながら、私もそろそろ少し変わろうか?そんなことを思いつつ。

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2010年9月 5日 (日)

ガガイモとヘクソカズラ

今年の夏は本当に暑かった。暑いので散歩もままならず、自然の中を歩くという日常が、日常でなくなりつつあった。なにしろ、暑すぎて歩くことを躊躇してしまう。少し歩くだけで汗でびっしょりとなり、体力消耗も激しいと感じる。

そんな中、本当は少し涼しくなってからと思っていた自然観察会を行った。あまりに暑いので、ゆっくりと少しだけ歩こうと思った。観察会の始めに、今日見ることのできるポイントの説明をする。丁度、ガガイモとヘクソカズラの花が咲いていたので、それぞれに説明をする。

ガガイモといえば、5年ほど前の冬のある日を思い出す。ハリーポッターのファンクラブ会報である「ふくろう通信」という雑誌ができた時、その創刊号で私は少し協力した。「ネビルのヒキガエルを探せ」という記事で、私の散歩道フィールドに取材にこられたときのことだ。取材にこられた人と、散歩道フィールドを歩いていて、ガガイモの実を見つけ、ガガイモの実はサツマイモのような形をした鞘の中に、タンポポの綿毛を大きくしたような綿毛のついた種が沢山詰まっている。それを見つけて、鞘を開いた時、歓声があがった。そして、それを記事にした。Gagaimo この写真は丁度5年前の「ふくろう通信」の取材にこられた時に撮った写真だ。このとき、種をいくつか持ち帰って庭に植えた。翌春に芽が出たものの、なかなか育たない。毎年、芽が出て茎が伸びるのだが、5年間で少しずつ伸び、ようやく30センチほどに伸びただけで、花も実もまだつけない。

さて、散歩道では、そのガガイモが今、沢山花を咲かせている。Gagaimo20100829 ちょっと地味な花だが、私の好きな花の一つである。花はおおかた白いが、ピンクがかっているものがあり、ピンクの濃淡に個性がある。

そのガガイモと一緒に、ほとんどゴチャマゼになって咲いているのがカラスウリとヘクソカズラだ。ただ、カラスウリは夜の間咲いて、昼間はもうしぼんでしまっているので、目立つのはヘクソカズラ。Hekuso20100829 こいつはとても酷い名前をつけられたものだと思うが、葉や茎をもむと、それなりに悪臭がする。ただ、花はなかなか可憐でかわいいと思う。

さて、観察会にて、私は「ヘクソカズラの蔓は左巻き、ガガイモは右巻きらしい」と説明した。さて、この右巻き、左巻きの定義が実は難しい。実際のところ、いろいろあるというのが事実なのだ。今、主流の言い方は、上から見て時計回りが右巻き、反時計回りが左巻きということらしい。私も時々混乱する。

蔓というのは、まわりの状況に合わせて、適当に巻くのかと思うと、実際には多くの植物でどちらに巻くか決まっているらしい。実際、そうなのかと確かめてみたら、確かにそうだった。散歩しながら、どっちに巻いているか調べた。結果、クズは全部右巻き、ヘクソカズラは全部左巻き、ガガイモは全部左巻きだった。着目点を定めてみれば、意外な発見があるものだ。

さて、ガガイモの花が咲いた後に、どうやって、あの実が出来るのか?ちょっと不思議だが、実が出来かけているものを見ると、なるほどと思う。Gagaimo2010090501 実際に自然の中を歩き、自分の眼で見て得られた発見は、自然の奥深さを教えてくれる。私たちが知らないうちに、行われている自然の営み。自然は単純ではないこと、奥深いこと、このことを知ることは、自然の素晴らしさを感じることでもある。そして、それを知ってこそ、自然を大切にしようと思うはずである。単純な論理で語れるほど単純ではない自然。その奥深さに感嘆することが大事だろう。単純化された都会の生活で、単純化された思考から脱するには、ありのままの自然を見ることが必要だ。そして自然界は単純化された世界ではないことを知ることだ。Gagaimo2010090502

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