雨降りの気持ち
昨日、田植えの手伝いにいったら、途中から雨がポツポツと落ちてきた。雨が強くならないうちにと、一生懸命田植えを終えた。田植えを終えて、延々と自転車で帰る。谷津田の中を帰る。
雨は、田植えの終わったばかりの、静かな田んぼの水面にたくさんの輪を作る。やがて、輪はどんどん増えていく。
畔道を自転車を押して進む。次第に本降りになってきたので、レインコートを取り出して羽織る。
田んぼわきの木がせり出している場所は、木が雨をさえぎってくれるので濡れない。けれど、すぐに通り過ぎる。
ああ、なんだかこの風景が好きだな。元気な晴れの日もいいが、雨が降ると、心が鎮まるのは何故だろう。新緑は濡れてよい香りを強くただよわせる。
サーッと雨がしぶきを上げて降ってくる。たぶん今日は帰りは雨になるだろうと思っていた。だから、雨の中、どこか木の下で雨宿りをして、そこでお弁当食べて、というのもいいな。などと思っていた。けれど、本降りになって、田植えの疲れもあるし、とにかく一生懸命進んだ。
今朝、起きたらまだ雨が降っていた。新緑の季節は短く、すぐに過ぎ去ってしまう。その大切な時間、散歩していたいと思うのだけれど、雨だ。
昼前になって雨があがったようだったので、散歩道へと向かった。シュレーゲルの大合唱と、ウグイスの声が谷に響く。特に、こんな、湿った曇りの日には、しっとりと、よく響く。
くねくね峠を越えて、新緑の中で一人田んぼを眺める。先日、用事があって徒歩で山を越えて行った帰り道、ここで一人お弁当を広げて食べた。いつか、そうしたかったのだけれど、何故かそんなことをしたことがなかった。今日はつかのまの雨あがり。空はまた暗くなり、雨が落ちてきそうだ。ゆっくりもしてられないな。と思ったら、パラパラと雨が落ちてきた。
「あっ、雨だ」
一人つぶやく。しばらくここで雨宿りするか。
田んぼにカルガモの夫婦が降りてきた。彼らは、毛づくろいをしたり、田んぼの中の何かをつついたりと、ゆったりと過ごしている。この季節、ここでよく見かける光景だ。
雨はそれほど強くはないが、しばらく降り続いた。空を見上げながら、雨がやんだら帰ろうか、と思う。でも、この場所で新緑にパラパラと雨が落ちる音をきいていたい気がする。緑の香りは濡れてさらに強くなってくる。じっとしていると、この場所に溶け込む。人の言葉では多くを語れない。でも、木々は香りで語りかけてくる。自然は音で、空気で、語りかけてくる。言葉に出来ない言葉。何度となく、私がここで感じたこと。
ゆっくりゆっくり進む。心の中のとげとげしい部分も今日は濡れて、やわらかだ。やんでいた雨は次第にまた本降りとなってきて、私はまた家へと急ぐ。玄関の前まで来たとき、急にザーッと雨が強くなった。
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