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2008年3月30日 (日)

わずかな差がアカガエルの生死を決める

昨日、今年から新たに観察場所となる予定地をぐるりとまわってきた。その中に、水の張った田んぼがあり、予想とおりにニホンアカガエルの卵があった。しかしながら、その数は両手で数えられるくらいの数である。そういうことを考えると、私が観察している散歩道のアカガエルは恵まれていると思う。Tamago20080329

これはその田んぼでみつけたアカガエルの卵。といっても、すでにオタマジャクシになって泳いでいる。卵塊は丁度アンパンくらいの大きさで、その真ん中に黒く泳いでいるオタマジャクシが見える。こういう光景はよくみかける。孵化したオタマジャクシのうち、大部分は卵塊の外に出るのではなくて、内側に集まる。そうすることによって、卵の殻がバリヤーとなってオタマジャクシを守ってくれる。さらに、殻には藻が生えて、それが餌にもなる。真ん中のオタマジャクシは外側にむかって卵の殻を食べていけばよい。

この時期の田んぼは、水の量が変化する。それはまだ田植え前であり、水の量を人間が細かくコントロールしていないため、日照りが続くと水量が減る。しかし、卵の殻のバリヤーはオタマジャクシを乾燥からも守ることが出来る。

とはいえ、この時期、守りきれずに干上がってしまった卵は沢山みかける。Tamago20080330011

こんな風になってしまうともうダメだ。ここには1つの卵塊があったから、およそ1000匹のオタマジャクシが死滅してしまったことになる。

私が観察している散歩道のアカガエルは恵まれていると書いたが、これには理由があるそれは、毎年、どこよりも早く水を入れる田んぼがあったからである。その田んぼに、2月中旬には水を入れるようになってから、アカガエルの産卵数は急激に増えた。それは毎年2倍~3倍にもなろうという急激な増え方だった。

ところが、その田んぼは今年はまだ水が入っていない。わずかな水溜りがあるだけである。このところ、比較的雨に恵まれているので、まだ水があるが、それでも半分干上がっている。Tamago2008033002

写真の黒い部分は全てオタマジャクシであるが、左半分は水が干上がって死滅している。右側は、まっくろにひしめきあうオタマジャクシたちが一生懸命ピチピチ動いている。そうして動くことによって、土が掘れる。そうすると、まわりの水がその掘れたくぼみに集まるようになる。

水が減ると、オタマジャクシは活発に動く。しかし、たっぷり水がある状態では、ただじっとしているだけである。水が減ったことが刺激となり、オタマジャクシを動かしている。それにより土を掘られ、うまくすれば生存の可能性を高める。

先日、水槽の中に産んだ卵はどうだろう?こちらは、水が干上がる心配はないだろう。みると、卵の中の黒い部分は長細くなり、オタマジャクシの形に近づいている。Tamago2008033003

もうすでに殻から出ているものもいるが、ほとんどはまだ殻の中だ。時々、ピクピクと動くものがいる。だが、ほとんどまだ動くことはない。中には、この時点でもまだ、丸いままで、うまく孵ることができなかった卵もある。Tamago2008033004 だが、これがこのままずっと残ることはないので、おそらく他のオタマジャクシの餌になるのであろう。

先日、沢山産みつけられた水路をみると、ここもまた、わずかな差が生死を決めている。Tamago2008033005

右側に産みつけられた卵は、水が減ってほとんど干上がっている。だが、左側に産みつけられたものは、豊富な水に恵まれて、オタマジャクシが育っているのだ。ほんの数十センチの差である。その差が生死を決める。1つの卵塊からおよそ1000匹のオタマジャクシが孵化すると考えると、この数十センチの差で1000匹の生死が決まるのだ。

先日みたもう一箇所の水路がある。ここは水深が少し深すぎると思ったが、それでもいくつか産みつけられている卵があったのだ。だが、今日いってみたら、一つもなくなっていた。Tamago2008033006

私はこれをみて、卵がなくなった原因がすぐにわかった。非常に微妙な流れではあるが、水流があるのである。この流れのために卵塊が流されてしまったのだ。

アカガエルの卵は普通、水深がある程度以上ある場所にはない。いわゆるヒタヒタの状態がいいのである。何故か?理由はいろいろあるが、一つには、卵が水底の上に直接乗っかっている状態を作り出し、流されないようにする必要があるのではないかと思う。卵が浮いた状態では、わずかに流れが生じても、流されてしまう。

産卵された卵は、オタマジャクシがぶじ泳ぎまわるまでにおよそ半分がこのように干上がったり、流されたりして失われるのである。

だが、無事泳ぎまわれるようになったとしても、それだけで全てのオタマジャクシがカエルになって上陸できるわけではない。無事上陸出来るまでに数はどんどん減る。それは、一つには天敵に襲われるということがある。オタマジャクシはサギなどの鳥や、水生昆虫などの餌になる。

先日から何度かここで畑仕事をしている方と、アカガエルのことを色々と話した。その方が心配していたのは農薬である。田植えの時期まで生き延びれば、水が干上がるという心配はないが、田んぼに農薬を撒くので、多くが死んでしまうという。確かに、田植え後の田んぼで、無残にお腹を上に向けて死んでいるオタマジャクシをよくみる。それは、おそらく農薬にやられたのであろうと思う。そういったことも乗り越えていかねば、生きていけないのである。人間の行為のわずかな差もアカガエルの生死に大きく影響を及ぼすのである。

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2008年3月23日 (日)

カエル合戦第二幕

先日の少し遅めのニホンアカガエルのカエル合戦の後は比較的雨に恵まれた。これは私の予想が当たった。2月の極端な寒さと雨の少なさは、次の季節の天候がどう変化していくかを予言している。このまましばらく周期的に雨の降る状態が続き、やがて田植えの季節になり、田んぼに水の絶えない季節がやってくる。こうなれば、アカガエルのオタマジャクシたちにとって、水が涸れて死ぬという最初に遭遇する大きなリスクが回避される。だから、2月の寒さと雨の少なさが、彼らに良い結果をもたらすと思ったのだ。

とはいえ、実際に見てみなくては、それがどうなっているかはわからない。今日、久々にアカガエルたちのその後の様子を見にでかけた。Tamago2008032301

水の豊富な水路に産卵された卵は順調に育っている。この中には私が水槽から救出したものもいくらか含まれているだろう。また、数日内に産んだと思われる新しい卵塊もあった。これこそが、アカガエルの産卵の特性だ。ピークを過ぎても少しずつ産み続ける。

実際、新しい卵は随分と増えていた。先日、雨が降ったときに産卵したのであろうが、面白いことに、新しい卵塊は、このように他の卵が沢山産卵している場所だけでなく、まったく新しい場所に産みつけているのが多い。それも、本当にこんなに小さな水溜りに産卵して大丈夫なのか?と思えるような場所に産卵している。Tamago2008032302

1個や2個であれば、小さな場所でも育つ可能性があるからかもしれないが、ピーク時までは、こんな不利な場所には産卵するものはいない。ところが、これが不利かどうかは今の時点ではわからないのである。沢山産みつけられた場所が突然干上がり、まさか?と思うような場所の水が保たれることもあるからだ。その微妙な確率の差が、こうしたアカガエルの産卵行動と結びついているような気がしてならない。

さて、今日はもうひとつ見なければならないものがある。それはカエル合戦第二幕、アズマヒキガエルのカエル合戦である。普通の年なら、アカガエルのカエル合戦と、こちらは1ヶ月ほどの隔たりがあるが、天候のいたずらで、こんなに接近したことになった。

アカガエルが前述のように、ピークを過ぎてもダラダラと長期にわたって産卵するのに比べ、こちらは、長くても一週間。一気に産卵し、後はまったく見られなくなる。このアズマヒキガエルもこのわずか1週間の間だけ、鳴き声を聴くことができるのだ。そして、こちらは産卵後の成長が早く、すぐに手足が生えて、わずか1ヶ月と少しで上陸する。

いつもアズマヒキガエルのカエル合戦が見られる場所にいってみた。アカガエルの事情と同じで、年によって産卵環境が大幅に変わる。水たまりの状態が変わればそれによって、良い、悪い、がある。せっかく産んでも、水の流れが変わって、強い流れに流されてしまったこともあった。Sanran2008032301

産卵場所は、こんなところである。ぬかるんだ場所を葦をかきわけて進み、ようやく到達する。すでに、誰かが歩いた跡があったから、この場所を知っている人が訪れたのであろう。近づくと、アズマヒキガエルのグエッ、グエッという低い声が聴こえてきた。この声を聴くと、ああ春になったのだなと思う。

去年はあまり産卵環境がよくなくて心配したものだが、今年は先日雨が降ったこともあってか、去年に比べれば良好のようであった。ヒキガエルたちは、元気にカエル合戦を繰り広げていた。Gassen2008032301

毎年くりひろげられるカエル合戦であるが、この元気な姿を見て少し安心した。去年はあまり環境がよくなく、カエル合戦もそれほどに盛り上がっていなかったようなので、寂しい思いをした。だから、今年はどうか?というのが気がかりであった。それが、本当に元気に、跳ね回り、取っ組み合いのカエル合戦。ちょっと滑稽だけれども、必死なカエルたちの姿を見ると、何か心が動かされる。Gassen2008032302

彼らのこうした営みは、私達人間が、彼らに気付くはるか昔から、こうして繰り広げられてきたはずだ。

両生類である彼らが、もっとも昔に陸にあがり、陸地をものにしたのである。彼らの鳴き声は、とてつもなく静かな地球に静かに響いていたのだろう。そんなことを思う。

毎年、彼らのカエル合戦を見るのは、ほんの一瞬だ。それでも、これを見ないことには季節が始まらない。今年も見ることが出来てよかった。これからも毎年、元気に跳ね回るカエル合戦を、ずっとみていきたいものだ。

今日、彼らの元気な姿を見れて本当によかったと思う。Gassen2008032303

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2008年3月16日 (日)

アカガエルの祭りの翌日は

昨夜のお祭り騒ぎの興奮がさめやらぬまま、昼間、昨夜の祭りのあとの様子を見にいってみた。多くの人はお祭り騒ぎを知らずに過ごすだろう。祭りのクライマックスは夜だからである。昼間はすっかりと静まりかえっていて、アカガエルの姿を見ることもほとんどない。たまに、午前中くらいまで夜の延長戦をやっている日もあるが、それは稀なことである。Tamago20080316

卵は、もともと一昨日の夜に産んだのがほとんどだったのだろう。昨日から今日にかけてはわずかに数が増えただけである。クライマックスが終われば、一晩に大量に産むことはなくなる。ただ、これで終わったわけではない。これから約一ヶ月にかけて、少しずつ増えていく。この少しずつ増えるということが重要な意味を持つのだ。

これに比べてヒキガエルはほとんど数日間のうちに産み、その後はまったく産まない。だが、こちらはオタマジャクシの育つ速さが違う。一ヶ月もすれば上陸するのだ。アカガエルは上陸するまでに、2~3ヶ月かかる。その間の生息環境が保たれなければならない。

昨夜、石を積んでアカガエルを脱出させた水槽には、アカガエルは一匹もいなかった。Suiso20080316

全員無事脱出できたのだ。よかった。卵は沢山水槽の中に残っているが、これはこのまましっかり育つだろう。餌がないじゃないか?と思うかもしれないが、オタマジャクシは卵の殻を食べる。そして、その殻には次第に藻が生えてきて、これがまたオタマジャクシの餌になる。

上陸するのは5月の終わりから6月頃だ。このまま、石を残しておけば、上陸するときにも役に立つだろう。

丁度、ここで畑仕事をしている人がいたので、昨夜の出来事をお話することができた。近くの水路に沢山卵があることを教えてくれた。私は水の流れのないこと、水の深さが大事であることなどをお話しすることができた。水路の中にアカガエルの死骸が一匹。これはカエル合戦の末に死んでしまったのだろう。おそらく、ダンゴ状態になって身動きがとれないうちに窒息死したのではないか?ダンゴ状態はこんな風になる。これでは、下になったカエルは窒息死する。Akagaeru2008031506

昨夜このダンゴ状態を見た場所と、水の中に死骸があった場所は一致するから、このダンゴ状態の結果かもしれない。

激しいカエル合戦の後に、命を落とすものも沢山いる。だから、カエル合戦と呼ばれるのである。

なにはともあれ、今年のアカガエルの季節は始まったのだ。これからまた、散歩のたびにアカガエルに出会う日々が始まる。

ただ、産卵を終えた親たちは、しばらくはまた見なくなる。子供たちが少し大きくなったころ、また姿を現す。その間、私は子供たちの成長をずっと見つめることになる。

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2008年3月15日 (土)

アカガエル大騒動!

昨夜、ようやくしっかりと雨らしい雨が降った。これならアカガエルも安心して産卵できるだろう、そう思い、アカガエルたちが繰り広げているであろうカエル合戦の様子を思い浮かべながら眠りについた。今朝はよく晴れて、気温も上昇した。とにかくアカガエルの様子が気になった。昼間、仕事で出かける必要があったため、夕方帰宅してからまずはとにかく、どこにどのくらい産卵されているのか見ることにした。くまなく見終わるころには、日が暮れて、今夜の祭りが始まるだろう。

昨年、600個以上の卵塊を見つけた田んぼは、今年は水がほとんどない。そのため、わずかな水溜りにわずかに50個ほどの卵塊があるだけだった。Tamago2008031501

とにかく少ない。少ないが、とりあえず卵があったので安心した。周囲の水路にも卵があるだろうと思って探したが、わずかでも流れがある水路には卵がなかった。新たに今年掘った水路は流れもなく、卵が見られた。それでも、全体で昨年の1割に満たない。ということは500匹ほどのアカガエルがこの周囲で産卵場所がなくてさまよっているに違いない。

少し離れたところに大きな水溜りがあり、そこに40個ほど、そして、その先の田んぼの水溜りに60個。そうやって数えてみても、全部で200個ほどだった。

これでもまだ少ない。例年の1/3である。ほとんど全ての卵が産卵してから数日以内の様子であったから、ほとんどが、昨夜の雨で生んだものだろう。だが、この数であれば、おそらく今夜あたりにピークが来てもおかしくない。まだ生み足りないはずであり、卵を抱えたメスはまだまだ沢山いる。だから今夜は期待できそうだ。そう思った。

去年まで大量産卵がみられた田んぼ周辺はどうやら少なそうなので、今年は観察ポイントを少し変えてみようかと、この時点では思っていた。周囲をブラブラしているうちに日が暮れてきたので、とりあえず、まずは去年までの大量産卵場所に行ってみよう。そうすれば、産卵場所を求めて彷徨うアカガエルたちが一斉に出てくるのが見られるだろう。そう思って、すっかり暗くなった道を懐中電灯をたよりに田んぼに向かって歩く。Michi20080315

あちこちでゴソゴソと何かが動く音がする。水溜りを懐中電灯で照らすと、ピョンとアカガエルがはねるのが見えた。おお、出てきたな。そう思いながら、目的の田んぼに向かって歩く。

田んぼに近づいたら、アカガエルの声がしてきた。ところが、さっき卵が沢山あった水溜りとは違う方向から聴こえてくる。「あれあれ?」どこにいるんだ?

ゆっくりとその声のする方向に向かって歩く。こちらの気配を感じるのか、時々声が止む。そうすると、私は息をころし、立ち止まる。しばらくしてまた声がすると、また一歩進む。そんな具合だ。そうして、声にかなり近づいて、声のする方を懐中電灯で照らしたら、そこにはとんでもないことが起きていた。Suiso2008031501

田んぼの隣にある畑に置かれた水槽の中でアカガエルたちがひしめきあっているではないか!アカガエルたちは必死でそこから出ようとしているが、出られない様子だ。よくみると水槽の中に卵もある。ここで産んでしまったモノがいるようだ。「やれやれ、なんてこった」水が少なく、産む場所がないので、水を求めた結果がこのようになったのだろう。私は一匹、一ペアーずつ、手ですくって外に出した。しかし、出しても出してもきりがない。どうしたものか?しかたなく、私は水槽をかかえて、近くの安全な水路にもっていき、そこでこの水槽の中身をすべて、流し込んだ。ここなら大丈夫だろう。Suiro2008031502

ところが、そのそばに、さらに大きな水槽があり、こちらはもう水槽の中に卵も沢山産んでいる。しかも、私が一人で抱えて行けるような水槽ではない。「いやあ、これはまいったぞ」Suiso2008031502

すでにもう力尽きて溺れかけているものもいるし、これは大変だ。とにかく、一生懸命、一匹ずつ手ですくって外にだしてやる。「もう、こんなところにはまるんじゃないぞ」そういって、一匹、一ペアをすくいだす。ペアーは離れないように気をつけてすくいだす。が、この中には底にもぐっているものもいるし、思ったよりも沢山いる。すくってもすくってもきりがない。

はて?何かよい方法はないものか?としばし考える。木片かなにかで出られるようにしてみれば、と思い、近くにあった、枯れ枝を入れてみるが、アカガエルたちはそこを登って外に出るようなことがない。

しばらく試行錯誤していたら、ふと思いついた。「そうだ!石を入れて陸地を作ってやればいい」。そして、私は、一生懸命周囲の石を拾って拾って、水槽の中に積み上げた。真っ暗闇の中、石ころを集めては水槽に沈める私。そして、ようやく、アカガエルが脱出できそうな陸地を作ることができた。早速、一匹がその陸地に登って脱出できた。Dasshutu20080315

よしよし!これならいける!「ちょっとまってろよ~、もっといい具合にしてやるから」。そう、アカガエルたちに話しかけながら、さらに石ころを拾い集める。

Dasshutu2008031502 不思議なもので、木の枝をさしこんでも、まったく脱出しようとしなかったアカガエルたちだが、こうやって陸地を作ってやると、次から次へと、この石の階段を登って外に出て行く。

つまりは、こういう構造が大事なんだな。自然の中の水溜りや水路の構造が、彼らの体にはインプットされている。水槽の垂直なツルツルの壁は、彼らの体にはインプットされていない。そこに小枝を差し入れても、そこをつたって外に出るなどということもまた、インプットされていないのだ。脱出できそうな斜面を見つけて脱出する。これが大事なのだな。

水槽の中のアカガエル次から次へと脱出していくのを見ながら、私は少し安心した。しかし、おかげですっかり写真を撮ることも、鳴き声を録音することも忘れていたではないか。そう思って、また水路や水溜りにいって写真を撮り、声を録音した。Akagaeru2008031502

年に一度の彼らの祭りは、いつ来ても素晴らしい。今年はとんだハプニングもあったが、それもまた、私にいろんなことを教えてくれた。もしかしたら、今日まで忙しくて来ることが出来なかったのは、この瞬間に出会うためだったのかもしれない。

私が生まれるはるか昔からこうして営まれてきたアカガエルたちの祭りの夜。これからもずっとこうして続くことだろう。多くの人は、そんなドラマが身近に起きているとは知らない。

アカガエルたちの祭りの夜は、私にいろんなことを教えてくれる。今年は特に。いままでの私の観察から考えてきたこと、それを少し軌道修正する必要があると思った。水槽にはまった沢山のアカガエルたちを見て、そして、彼らを救おうとして、いままで気付かなかった凄いことに沢山気付いたからだ。それは折に触れ、ここにも書こう。

私はこうして毎年彼らの祭りを見ながら、かれらの営みの本当の姿に一歩ずつ近づきたい。そして、私も毎年、私として祭りに参加させてもらいたいものだ。Akagaeru2008031503_2

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2008年3月 2日 (日)

アカガエルは知っている

今日は昼間、ひたすら歩いて歩いて、水辺という水辺をアカガエルの卵を探して歩いた。ないだろう、とは予想がついた。産卵する水辺はそれぞれに順番があり、もっとも早いと思われる水辺に昨日の時点で卵がなく、昨夜の谷津田にはカエルの姿がまったくみられなかったから、「あるわけはない」とは思っていた。しかし、それは私の経験則に基づいているに過ぎない。これほどまでに産卵が遅かった年を私は知らないので、私の想像の及ばないようなことが起きているかもしれない。それはこの目でみなくてはわからないことだ。頭で考えたとおりに自然は動くものではない。

やはり卵はなさそうだったが、驚いたのは、昨日まで水のあった場所で水が涸れはじめていたことだ。Suiro20080302

このあたりの谷津田の水源は主に湧き水だ。谷底から湧いてくる湧き水を田んぼわきの水路に引いている。このところの雨の少なさで土はカラカラに乾いている。いよいよ湧き水の量も減ってきたのだろう。水路の水が減り始めている。

こんな状態でアカガエルが卵を産んだらどうなるか?卵は一度乾燥してしまうと終わりである。

今年の2月は確かに気温が平年に比べてかなり低かった。だからアカガエルも出てこないのは容易に想像がつくだろう。さらにこの雨の少なさだ。

先週末、今週末と一時的に気温は上昇したが、アカガエルは一切出てくることがなかった。ずっと気温が低いままで、出るに出れなかったのだから、気温がぐっと上昇すれば一気に出てきてもよさそうであるが、まったく現れなかった。もし、一気に出てきていたらどうなるだろうか?それは全滅を意味する。水がなくなれば、卵は、そしてオタマジャクシは生きることが出来ない。そのために雨を待っているのだろう。雨の合図で出てくることは、生き延びるために重要なのだ。そして、一気に産卵を終えてしまうのではなく、じわじわと、時期をずらしながら産んでいくのは大事なことなのだ。

一つ気になることがあった。それは、私の観察エリアから少しはずれたところにある、知り合いがお米を作っている田んぼ。私も毎年手伝いにいくその田んぼは、私の散歩道のアカガエルよりも、1~2週間ほど早く産卵が始まる。それは日当たりのよい開けたところにある田んぼで、冬の間も水を抜かない。少し遠いが、とにかくそこにいってみよう。そうすれば、今、アカガエルの季節がどこまで進んでいるのか、地面の下の様子がわかるかもしれない。Aze20080302

それは歩いてみるとかなり遠い道のりだ。延々と畔を歩く。いつもは水がある田んぼでも、今年は水が異様に少ないことがよくわかった。常に水が溜まっているはずの水溜りでも、水が涸れているところもあった。

そして、歩いて歩いて、到着した。ぱっと見たところ、アカガエルの卵がない!少し驚いた。ずっと水の張っている田んぼだ。アカガエルの産卵に最適の田んぼだ。それが3月というのに、卵がない。もし、今年の気候のことが頭になければ、これは一大事だと思うことだろう。それくらい、衝撃的な光景だった。Tambo20080302

いつもは、この時期なら、ここはアカガエルの養殖場かと思うくらい、数え切れない卵塊があるというのに。

田んぼをぐるりとまわりながら卵を探してみた。そしたら、たんぼの一角に少しかたまって10個ほどの卵塊があった。しかし、たったの10個である。

Tamago2008030201 卵の様子から、だいたい産んでからどのくらいの日数がたったものかがわかるのだが、これだと、1週間以内。おそらく4~5日前に産んだものだろうと思われるから、このまえの水曜日あたりに雨が降ったときのものだろう。全ての卵がほぼ同じ時期の産卵と考えられる。

これでは、私の散歩道にある田んぼでは、まだまだ産卵が始まるわけはない。この田んぼでようやくシーズンが始まろうとしているのだから。おそらく、あと一週間くらい。その間にまとまった雨があれば一気に出てくるだろうが、予報ではいまのところまとまった雨にはなりそうにない。

ふと、一つ、気になる卵塊があった。それは、卵の一部が白くなっているものだ。これは産卵後に水が凍ってしまい、このようになったと考えられる。Tamago2008030202

こうなると、孵化率がぐっと下がる。

だから、たとえ雨が降っても、その後に気温がぐっと下がるような時は産卵に適さないのだ。

通常、この時期になると、南岸低気圧といって、日本の南海上を低気圧が通り、それで雨が降る。これは暖かい空気を運んでくるので、一時的に気温が上昇する。このような時はアカガエルの産卵には適する。

ところが、今年は、そうでなく、深い気圧の谷とともに、日本海側と、太平洋側に2つの低気圧が挟むようにして進むようなことが多い。この場合、低気圧の背後に強い寒気をともなってやってくることが多く、雨の後はぐっと寒くなる。これではアカガエルの産卵には適さない。卵が凍ってしまっては孵化できなくなる。それに、急激に気温が下がると、アカガエルの卵だけでなく、親も凍え死んでしまう。

ということは、ただ雨が降るだけでは合図にはならないのだ。天気図をみなくても、アカガエルは知っているのだ。それにしても、こうも天候が悪いと、ヤケになって産んでしまいそうな気もするが、まったくこの10個以外に卵がないのだから、アカガエルはたいそう我慢強い。

今は、卵がなくて寂しい毎日だが、実は今年のこの天候、アカガエルにとっては意外とよい結果をもたらすのではないかと、密かに私は思っている。それはオタマジャクシが元気に泳ぐころにはわかるだろう。さて、私の予想は当たるだろうか?

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2008年3月 1日 (土)

卵はまだか!

今日は私が講師をつとめる地元公民館の観察会の日だ。観察会の日程は、アカガエルの卵が見られるだろうということで、この日に決めた。去年もほぼ同じころに観察会を行った。去年はアカガエルが例年通りに卵を産んでくれたのでみんなにたくさんのアカガエルの卵を見せることができた。ところが、今年はまだ卵が一つもない。やはり、これは天候の問題なのだ。気温が低い上に、雨が降らない。雨が降っても、雨の後に気温が上がらない。これでは、アカガエルも産卵に出てくることが出来ないのだろう。それはわかっているが、それでも、一生懸命卵を探す。Tanbo2008030101

アカガエルがどんな場所に産卵するかを知っている人ならば、この時期、こんな水溜りがあって周辺にはアカガエルが沢山いるのであれば、卵があっても不思議ではないと思うだろう。それが、ないのだ。見事に、1個もない。

確か、2004年も産卵がかなり遅かった。まだか、まだか、と探し回ったのを思い出す。それでも、2004年は2月28日に最初の卵を発見している。3月までずれこんだ今年は異例ともいえよう。

ただ、全国的に産卵は遅れているようだ。2月の気温がずっと低かったこともある。こんな水溜りも、つい先日までは氷が張っていて、とても卵を産める状態ではなかった。それに、雨が降らず、水溜りそのものに水がない場所も多い。

それでも、夜になれば、アカガエルが出てくるかもしれないという期待をこめて、夜の散歩道にいってみたが、出会ったのはノラネコ一匹だけ。Yoru2008030100

産卵の季節が始まれば、今日くらいの寒さであっても、あちこちにアカガエルの姿が見られるはずなのだが、今年はそれすらない。つまり、まだ産卵シーズンが始まっていないということだろう。

気温はここ数日でぐんと春の気温になった。しかし、雨というシーズン開始の合図がないと始められないようだ。

明後日はようやく少し雨がふりそうである。先日の冷たい雨とは違い、雨の後、気温が下がることはなさそうなので、これでようやくシーズン開幕となるだろう。これもまた自然の成り行きなのであるが、人間のカレンダーを見て気を揉むのは人間の私。アカガエルは私が気を揉むのをよそに、あわてることもなく、ひっそりと静まり返っている。それでもアカガエルはみんな知っている。シーズン開始の合図があるのを待っている。

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