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2006年4月 8日 (土)

タンポポの雑種

最近、とあることがきっかけで、ネット検索していたら、面白いものを発見した。それは、農業環境技術研究所というところの成果発表の中にあるが、

http://www.affrc.go.jp/seika/data_niaes/h16/niaes04024.html

いきなりタイトルがショッキングである。少し戻って説明すると、今の日本に生えているタンポポは、もともと日本に生えている在来タンポポ(カントウタンポポ、ヒロハタンポポなど)と、明治の頃に野菜として栽培されたのが広まったといわれる、ヨーロッパ原産のセイヨウタンポポがある。
セイヨウタンポポと在来タンポポの簡単な見分け方を知っているだろうか?実際には、在来タンポポでも、カントウタンポポやヒロハタンポポなどもあり、微妙に違うのだが、要はセイヨウタンポポは、花の根元の部分、茎との境目のところが、めくれている。在来タンポポではめくれているものはない。随分前のそう教わったので、それ以来、そうやって見ては、「これはセイヨウタンポポ」などといっていた。
うちの近所では、人通りの多い場所や造成地、荒地などにはセイヨウタンポポ、そこから少し自然の中に入っていくとカントウタンポポ、そんな風に綺麗にわかれていると思っていた。確かにそれはそうなのだが、実際には関東地方に生える見た目はセイヨウタンポポのものが実は85%は雑種だということだ。しかも、造成地や荒地などのオープンな環境には雑種が多く、さらに、その4割が単一のクローンだということだ。
単一のクローンというのが難しげであるが、要は、まったく同じ遺伝子を持ったものということだ。これは、セイヨウタンポポは単為生殖、つまり、交配しないでも自分自身でどんどん増える。つまり、一度何かのきっかけで雑種になったものが自分自身をどんどん増殖させて増えて増えて、それが今現在、造成地や荒地に生えるセイヨウタンポポ(雑種)となっているのだろう。ようはみな双子の兄弟であり、それがほぼ関東全域に広がっているということなのだ。そう考えると、実際にセイヨウタンポポが増えて在来タンポポが減ったとずっと言われてきたことに深い意味を感じる。
純粋なセイヨウタンポポは、造成地などの乾いた土地では生育しないらしい。これは在来タンポポも同じである。だが、このクローンタンポポは乾燥した造成地などで多く見られる。ということは、雑種になってたまたまそういう性質を獲得したのではないか?しかも、たまたまある交雑が起こり、出来た雑種が荒れた土地、乾燥した土地に強かったとすれば、それが単為生殖でどんどん勢力を広げたということも考えられる。
かつて、タンポポ戦争などといって、乾燥した土地でも生育できる優れた性質を持つセイヨウタンポポがどんどん勢力を広げて、在来のカントウタンポポなどはどんどん追いやられていったといわれていた。しかし、このDNAが示す答えは、そうではないように思える。セイヨウタンポポが勢力を広げたのではなく、勢力を広げたのは雑種だ。しかも、単一の遺伝子を持つ雑種だ。
私は「砂漠化」といっているが、要するに、複雑な植生も環境もなにもかもリセットしてまっさらの更地を造成し、そこに人が住むということ、つまり都市化だが、これは明治以来100年、どんどん進行していった。ちょうどその100年ほど前にセイヨウタンポポが日本に持ち込まれた。その100年の間のどこかの時点でたまたま出来たセイヨウタンポポと在来タンポポの雑種が、その都市化していく土地で生育するのに適していた。それは単為生殖でどんどん増えて、都市の草という地位を獲得する。在来のタンポポそれ自身は、自分達の生育しやすい環境では何の問題もなく生育しているが、人々は「減った」と感じ、それは逆に増えているセイヨウタンポポのせいだと思う。
しかし、実際には違った。増えたのは乾燥に強い雑種タンポポであり、もともと現在の都市のような乾燥した場所に在来タンポポなど生えることはないし、そもそも生えていなかったのである。むしろ、何も生えていない場所に生えた雑種クローンタンポポが出現したのである。おそらくこれが答えなのではないだろうか?
私はずっとセイヨウタンポポは人の生活に近い場所に生えると思い続けてきた。それはそういう場所に適した雑種を見ていたのである。道端のタンポポでさえ、何にも知らないのであるから、我々の知らないことは恐ろしく大きい。そんな無知な我々が自然をどうコントロールしようというのだ。あたかもそれが出来るかのように思わせる「地球にやさしい」キャンペーンが私にはとても恐ろしい。Kanto20050326

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コメント

こんにちは~。
気をつけて見ているのですが、私の普段の行動範囲が狭いので
はっきりとは言えませんが
私の町には花の根本がめくれているタンポポがありません・・。
ありませんと言い切ることはできませんね、
えっと、私はまだ見つけることができません。
辺境の漁村にはまだ西洋タンポポが来てないのでしょうか。
西洋タンポポもこの町に来るには山越えしなくちゃいけないので
来られなかったのかも・・・・。
でも、どこかに来てるのかも。
探してみます。

投稿: ふるやのもり | 2006年4月13日 (木) 14時39分

おそらくなのですが、新たに造成した荒地などや舗装された道路脇のようなところだとセイヨウタンポポがあるのではないかと思います。もし、そういうところにタンポポが生えてないとしたら、たぶんまだセイヨウタンポポが来てないかもですね。
私の経験上、あるところにはいくらでもあるんですが、ないところにはまったくないんです。ちなみに上の写真はカントウタンポポです。こんどセイヨウタンポポの写真も載せてみますね。

投稿: TAGA | 2006年4月13日 (木) 23時47分

埋立地である港のあたりにセイヨウタンポポありました。
土と一緒に来たのかも知れませんね。

ガクがめくれてないタンポポでも葉っぱのギザギザがないようなのと
ギザギザがあるのとあるんですが
種類が違うんでしょうか?
在来種にも種類があるようで、タンポポといえども
見分けは難しいのですね・・・・。

投稿: ふるやのもり | 2006年4月24日 (月) 15時31分

セイヨウタンポポありましたか。埋立地であれば、土と一緒に来たのかもしれないし、あるいは人にくっついてきたかもしれないですね。
在来タンポポ、そうですね、色々ありますね。
場所にもよりますが、こちらではカントウタンポポとヒロハタンポポがありますが、葉の形は結構バリエーションがあるようです。見分けるのはなかなか難しいですね。

投稿: TAGA | 2006年4月24日 (月) 22時47分

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